御祭神 美夜受比売命
【ミヤズヒメ】
ミヤズヒメはヤマトタケルが東征の折り、最初に見初めた女性です。ミヤズヒメの兄は建稲種命(タケイナダネノミコト)。ヤマトタケルの東征に際して副将軍を務めました。きっとその関係で知り合ったのでしょう。
ヤマトタケルは心の底からミヤズヒメを愛していました。ヤマトタケルは「東征からの帰途、必ず立ち寄るから」と言い残して出発し、東国平定の大偉業を成し遂げた後、その約束を果たします。
2人の関係は悲恋でもあります。ヤマトタケルは伊吹山の荒ぶる神を退治に出かけることになりますが、「自分は必ずおまえの許に帰ってくる」―。その証として愛用の草薙の剣を彼女のもとに置いていきます。
結局、この行為が裏目に出てヤマトタケルは荒ぶる神に敗れて落命します。そしてミヤズヒメは彼の死を悼み、草薙の剣を手元に置いて生涯を独身で過ごします。
ヤマトタケルには6人の后がいたとされますが、これほどプラトニックな関係を持ったのはミヤズヒメだけです。これは余談ですが、古事記を編纂させた天武天皇(即位前は大海人皇子)は、壬申の乱において尾張氏の力を借りることで、当初優勢とされていた大友皇子を破ることができました。
ミヤズヒメに崇高な心を与えたのは、ひょっとしたらそのことが関係しているかもしれませんね。